劇場版名探偵コナンシリーズは、1997年に『時計仕掛けの摩天楼』が公開されてから、毎年1本ずつ放映され、すでに22作品が世に出ている。
通常編、少年探偵団編、黒の組織編、怪盗キッド編、服部平次編など、その年によって映画の主役が異なることから、どの作品が好きかは意見の分かれるところだろう。
ここでは全22作品を全て視聴してきた筆者が考える、「名探偵コナン映画の面白い作品ランキング」を紹介していきたい。
- 1位 時計仕掛けの摩天楼
- 2位 から紅の恋歌(ラブレター)
- 3位 世紀末の魔術師
- 4位 純黒の悪夢(ナイトメア)
- 5位 天国へのカウントダウン
- 6位 ベイカー街の亡霊
- 7位 異次元の狙撃手(スナイパー)
- 8位 瞳の中の暗殺者
- 9位 漆黒の追跡者(チェイサー)
- 10位 迷宮の十字路(クロスロード)
- 11位 14番目の標的(ターゲット)
- 12位 水平線上の陰謀(ストラテジー)
- 13位 天空の難破船(ロストシップ)
- 14位 絶海の探偵(プライベート・アイ)
- 15位 11人目のストライカー
- 16位 業火の向日葵
- 17位 ゼロの執行人
- 18位 沈黙の15分(クォーター)
- 19位 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)
- 20位 銀翼の奇術師(マジシャン)
- 21位 紺碧の棺(ジョリーロジャー)
- 22位 戦慄の楽譜(フルスコア)
1位 時計仕掛けの摩天楼
監督:こだま兼嗣
興収:11億円(歴代21位)
ある日、新一(コナン)の元に建築家の森谷氏からパーティの招待状が届いた。蘭に代理出席を頼んだコナンだったが、代わりに蘭と映画を見る約束をしてしまう。デート当日、悩むコナンの元に爆弾犯から電話があり、そこから連続爆破事件に巻き込まれてしまう。
作品の感想
コナン映画の原点。コナンと爆弾犯の知略戦にしても、新一と蘭のラブストーリーにしても、ベタベタな設定だからこそ、誰にでもわかりやすい面白さになっている。
また何と言っても、この作品最大の魅力はラストシーン。物語の中で伏線をしっかり張っておいてのあのラストは、何度見ても身悶えしてしまう。謎が解けた時のスッキリ感とキュンキュン感は、まさにコナン作品だからこそ成せるわざだろう。
正直、これを超えるラストをコナン映画で見ることは叶わないんじゃないかと思ってしまう。思い出補正と言われようと、やはりコナン映画としては、この作品を推さずにはいられない。
2位 から紅の恋歌(ラブレター)
監督:静野孔文
興収:68.7億円(歴代1位)
大阪の日売テレビで爆破事件が発生。脅迫状に添えられた百人一首から、競技かるた「皐月会」の面々が狙われていることが判明する。そんな騒動の中、コナンたちは平次の婚約者だと言い張る大岡紅葉と出会う。果たして事件の真相と、和葉vs紅葉の恋の行方は?
作品の感想
平次と和葉メインのラブストーリー。完全な平次主役映画で、こてこてのラブストーリーながら、推理やアクションもしっかり盛り込まれており、コナン映画らしい面白さ満載の作品。
新一&蘭とは一味違ったラブストーリーに、コナンとタッグを組んでの推理&アクション、そして物語の最後にしっかりオチを持ってくるコメディ感と、どれをとっても平次の良さが存分に発揮されており、平次好きとしてはたまらない仕上がりになっている。
事件の真相に少し切なくなったかと思えば、平次のバイクアクション&セリフにドキドキさせられ、その直後に主題歌が流れて完結するラストの展開には文句のつけようがない。
3位 世紀末の魔術師
監督:こだま兼嗣
興収:26億円(歴代15位)
怪盗キッドから、ロマノフ王朝の遺産「インペリアル・イースター・エッグ」を狙うとの予告状が届く。コナンたちはエッグを守るべく大阪に向かうが、逃走中のキッドは何者かに撃たれてしまう。果たしてキッドを撃ったのは何者か?エッグに隠された秘密とは?
作品の感想
とにかく演出が凝っていて中身の濃い作品。怪盗キッドがエッグを盗みだすところから始まり、殺人事件の発生、古城での探索など、ストーリーが目まぐるしく展開して飽きが来ない。
それでいて筋がしっかり通っており、ひとつの物語として完結しているところが素晴らしい。特にメモリーズエッグに隠された秘密が明かされる場面での音楽を含めた演出は秀逸で、見ていて感動を覚えるほど。
コナンとキッドの距離感も絶妙で、最後の場面ではコナン作品らしい切なさとカッコよさが味わえ、最初から最後まで満足度の高い仕上がりになっている。
4位 純黒の悪夢(ナイトメア)
監督:静野孔文
興収:63.3億円(歴代2位)
黒の組織の一員であるキュラソーは、警察庁から機密情報を盗んで逃亡する際、事故に遭って記憶を失ってしまう。記憶を失った彼女を保護したコナンら少年探偵団一行だったが、彼女を捕えようとする公安警察と黒の組織との争いに巻き込まれていく。
作品の感想
アクション全振りの作品。推理や恋愛といった要素がほぼ皆無で、結末もハッピーエンドでは無いので、一部のコナンファンには不評かもしれないが、ここまで振り切れているとこれはこれで面白い。
個人的にはキュラソーにまつわる物語が好きで、作品を通してうまく感情移入できるようになっている。おかげで最後の結末が心に響くし、少し切ない感じが何とも言えない。
カーチェイスや観覧車でのバトルなど、見ごたえ十分のアクションシーンがありながら、ひとりの人間の心情の移り変わりをきれいに描けており、完成度の高い作品だと思う。
5位 天国へのカウントダウン
監督:こだま兼嗣
興収:29億円(歴代13位)
西多摩市に新しく完成したツインタワービルを訪れたコナンたちは、ビルの関係者を狙った連続殺人事件に遭遇してしまう。少年探偵団と共に捜査を進めるコナンだったが、灰原の命を狙う黒の組織によりビルが爆破され、窮地に立たされてしまう…。
作品の感想
少年探偵団と灰原哀の活躍が見れる作品。普段はクールで感情をなかなか表さない灰原だが、この作品では感情を吐露する場面が多く、哀ちゃんを好きになってしまう要素が詰まっている。
また少年探偵団の見せ場も多く、ほっこりしてしまうセリフや行動が盛りだくさん。コナン映画で描かれることの少ない、子供たちの友情が見られる心温まる作品になっている。
ちなみにこれが黒の組織の映画初登場作品となるが、ストーリーとの絡み具合が絶妙で、展開に深みを持たせるのにひと役買っている。黒の組織が目立ちすぎることなく、作品の一部としてうまく取り込めているあたりが良い。
6位 ベイカー街の亡霊
監督:こだま兼嗣
興収:34億円(歴代7位)
仮想体感ゲーム「コクーン」の完成披露パーティに招待されたコナンたちだったが、その会場で殺人事件が起きてしまう。犯人の手掛かりがゲーム内にあると考えたコナンは、ノアズ・アークの待ち受ける、19世紀末のロンドンを舞台にしたゲームの世界に挑む。
作品の感想
少年探偵団メインの冒険活劇もの。仮想空間でAIと対決するというコナン映画としては珍しい設定で、ゲーム世界を冒険するコナンや少年探偵団の姿にはワクワクさせられる。
また、いつも一人で突っ走るコナンが、子供たちと協力して冒険する姿や、父・優作に対して見せる仕草など、普段のコナンでは見られないシーンも多く、この作品でしか味わえない面白さがある。
ただ殺人の動機を最後まで引っ張った割りに、ゲームの設定に合わせて取って付けた感が強く、「そんなことで世界有数の実業家が人を殺すかな?」と少しモヤっとしてしまったのが残念。
7位 異次元の狙撃手(スナイパー)
監督:静野孔文
興収:41.1億円(歴代4位)
ベルツリータワーのオープニングセレモニーに参加したコナンたちは、目の前で客の一人が狙撃されるのを目撃する。これを皮切りに、ベルツリータワーを中心とした連続狙撃事件へと発展し、コナンは世良やFBIと共に犯人の凄腕スナイパーを追うことになる。
作品の感想
ラスト3分が最高にワクワクする作品。コナンの花火打ち上げから、最後の沖矢昴の一言までの流れが秀逸で、見終わった後の爽快感と高揚感は歴代でもトップクラス。
実は上映当時、沖矢昴=赤井秀一の確定情報はまだ出ていなかったため、最後のセリフはファンにとってたまらない演出だった。
正直、映画の大半がスナイパー主役で進むため、コナン映画としてみると少し物足りなさは感じるが、それでもラスト3分が全て忘れさせてくれるくらい、終わりよければ全て良しを体現した作品だと思う。
8位 瞳の中の暗殺者
監督:こだま兼嗣
興収:25億円(歴代17位)
ある事件を担当した刑事が狙われる連続殺人事件が発生。3人目のターゲットだった佐藤刑事が銃撃されるが、その現場を目撃した蘭は記憶喪失に陥ってしまう。コナンたちは何とか蘭の記憶を取り戻そうとするが、その最中にも犯人の魔の手が蘭へと伸びる…。
作品の感想
いつも化け物じみた強さを見せる蘭が、記憶喪失により普通のヒロインになってしまう作品。ラブストーリーに重点を置いたためか、事件の印象は薄く、中盤はテンポが遅く感じてしまう。
とはいえ最初のデートの導入から、噴水広場でのラストに繋がる流れは秀逸で、エンディングに流れる「あなたがいるから」が最後をきれいに締めくくってくれる。
初期作品のため演出は控えめで、中盤の間延び感が少し気になるが、見終わったあとの切なさと嬉しさが入り雑じった感じは、この作品ならではだろう。
9位 漆黒の追跡者(チェイサー)
監督:山本泰一郎
興収:35億円(歴代6位)
東京近県で連続殺人事件が発生。現場に置かれた”麻雀牌”の謎を解くべく、警察は合同捜査を開始するが、捜査本部には黒の組織のメンバーが潜入していた。コナン、警察、黒の組織の三者が犯人を追う中、コナンの正体が黒の組織に感づかれてしまう…。
作品の感想
見所は何と言ってもアイリッシュに追いつめられるコナンの姿だろう。追いつつも追われるという二重の展開が見ていて飽きないし、黒の組織との対決らしいハラハラ感を味わえる。
ただこうした展開を無視するレベルで終盤のアクションがぶっ飛んでおり、蘭が銃弾を避けたかと思えば、東京上空で軍事ヘリがガトリングをぶっ放すなど超展開が連続する。
作品を見返す度に「推理が凝ってて面白いな」と思うのだが、見終わるとアクションシーンしか記憶に残っておらず、前半の事件部分は何だったのか?と思ってしまう。推理シーンの出来が良いだけに、ラストのぶつ切り感がもったいない作品。
10位 迷宮の十字路(クロスロード)
監督:こだま兼嗣
興収:32億円(歴代9位)
コナンたちは、山王寺から盗まれた国宝級の仏像の捜索を依頼され、京都を訪れていた。平次と協力して仏像の捜索にとりかかるコナンだったが、仏像を盗んだ盗賊団のメンバーから命を狙われることに…。
作品の感想
京都を舞台にした平治と和葉がメインの作品。京都の街並みがきれいに再現されており、謎解きも京都の街にかけたものになっていて雰囲気がとても良い。
おそらくこの雰囲気を楽しむ映画であり、「おみやさん」や「新参者」といった、推理メインの落ち着いた刑事ドラマが好きな人には受ける作品だと思う。その分、演出は控えめで、感情が揺さぶられるようなシーンは少なめ。
個人的に新一の登場の仕方があまりにご都合主義的なのと、平次が和葉だと気付かなかったことにどうしても納得がいかず、モヤっとしてしまったのが残念だった。
11位 14番目の標的(ターゲット)
監督:こだま兼嗣
興収:18.5億円(歴代20位)
目暮警部、妃英理、阿笠博士と、小五郎の知人が次々と襲われる事件が発生。その現場にはトランプが置かれており、どうやら名前に数字が入っている人物が順に狙われていることが判明する。捜査線上には小五郎が10年前に逮捕した村上丈が浮かぶが…。
作品の感想
トランプになぞらえて、名前に数字が入っている人間を順に襲っていくという面白い設定の作品。次は誰がどういった方法で狙われるのか?という先の読めない展開が見所になっている。
蘭がまだ女の子らしくヒロインしていたり、刑事時代の小五郎のかっこいいエピソードが盛り込まれていたりと、初期作品らしい正統派コナン映画といった感じ。
設定が面白く、推理の過程や犯人の狂人っぷりもよく描けているが、初期作品のため全体的に演出が控えめで、ゾクゾクするような場面が少ないのがもうひとつと言ったところ。
12位 水平線上の陰謀(ストラテジー)
監督:山本泰一郎
興収:21.5億円(歴代19位)
豪華客船「アフロディーテ号」の処女航海に参加したコナン一行。船内でのかくれんぼ中に、園子が何者かに監禁されてしまう。コナンの活躍で園子は無事救出されるが、今度は船内で殺人事件が発生。捜査の中で15年前の沈没事故との関連が浮かび上がってくる。
作品の感想
小五郎が推理にアクションに大活躍する作品。「ポンコツな小五郎」という、コナン作品の定番を逆手にとった、最後のどんでん返しが一番の見どころだろう。
小五郎の推理にしても、かくれんぼにしても、貝殻の金メダルにしても、作中に伏線がしっかり張ってあり、ひとつの作品としてよくできている。
ただ見せ場が最後に集中しているため、前半部分にあまり見どころが無く、少し退屈に感じてしまうのが残念なところ。
13位 天空の難破船(ロストシップ)
監督:山本泰一郎
興収:32億円(歴代9位)
怪盗キッドを捕まえるべく、ビッグジュエル”天空の貴婦人”を乗せた飛行船で待ち受けるコナンたち一行。ところが航行中、細菌兵器を持ったテロリストによって飛行船をハイジャックされてしまう。キッドと共闘してテロリストの制圧に向かうコナンの運命は…。
作品の感想
コナンとキッドの少しおどけたやりとりや、キッドが新一のふりをして蘭を騙すシーンなど、普段は見られないキャラの絡みを見られるのが本作の面白い所。
同じ設定を実写映画でやった場合、息つく暇もないほど緊迫した展開になりそうだが、今作ではこうしたキャラの絡みのおかげで、ハラハラしながらも楽しく見ることができる。
ストーリー自体も結末が二転三転して飽きが来ないので、怪盗キッドほかキャラクターの言動に萌えられる人にとってはたまらない作品だと思う。
14位 絶海の探偵(プライベート・アイ)
監督:静野孔文
興収:35.7億円(歴代5位)
舞鶴湾でイージス艦「ほたか」の体験航海に参加していたいコナンたち一行。その艦内である自衛官の左腕が発見される。警察による捜査が始まるなか、コナンは身分を偽った女性自衛官に疑いの目を向け、その目的と事件との関連性を探ろうとする。
作品の感想
防衛省・海上自衛隊全面協力のもと、リアルに描写されたイージス艦を舞台にした作品。不審船などの時事ネタも含まれており、現実世界を想起させるストーリーになっている。
コナン映画としての良さはあまり感じないが、イージス艦の描写にも迫力があり、見ていて普通に面白い映画。それだけに順位付けを迷う作品ではあった。
本作ではコナンが軍事機密を漏らす重大犯罪を犯したり、最後のシーンで取り乱したりと、ちょっとイメージを損なう行動が多く、コナンファンとしてはもやっとする部分が多かったように思う。
15位 11人目のストライカー
監督:山本泰一郎、静野孔文
興収:32.9億円(歴代8位)
コナンが少年探偵団らと共にサッカー観戦を楽しんでいた頃、毛利探偵事務所に爆破予告の電話がかかってくる。蘭から連絡を受けたコナンの活躍で、なんとか爆破による死者は出さずに済んだが、これはまだ犯人が企てた大規模爆破計画の序章にすぎなかった。
作品の感想
サッカーがテーマの作品で、三浦知良や遠藤保仁といった現役サッカー選手が声優を務めたことでも話題となった。
子供受けが良さそうな内容で、各クラブのエースストライカーが協力して爆弾を解除する姿や、少年探偵団がパスをつないで最後にコナンが11人目のストライカーとして爆弾を止めるシーンなどは、一体感があって熱かった。
少年探偵団が活躍するという意味では、「天国へのカウントダウン」と似たところはあるが、主要キャラの心情面での描写がほとんど無く、ぐっと来るシーンが無いのが残念。
16位 業火の向日葵
監督:静野孔文
興収:44.8億円(歴代3位)
鈴木財閥の鈴木次郎吉が、ゴッホの名画「ひまわり」を落札した。次郎吉は世界にある7つのひまわりを全て集め、日本で展覧会を開催することを宣言。ひまわりを狙う怪盗キッドに対抗すべく護衛チームを結成し、コナンと小五郎もこれに加わることとなった。
作品の感想
怪盗キッドがメインの作品。序盤からキッドとの対決が連続し、展開が早くて飽きが来ないので、キッドを楽しむためのエンタメ作品としてみればよくできている。
ただ事件性が薄く、推理要素もあまりないうえに、犯人の動機が意味不明(贋作が他のひまわりと並ぶのが嫌→論文で本物と証明されており学芸員なら知っているはず)なので、コナン映画としてみると不満に感じる人もいると思う。
割りと楽しく見れたのだが、やはり上位の作品と比べると、心にぐっと来るものがないので物足りなく感じてしまう。
17位 ゼロの執行人
監督:立川譲
興収:91.8億円
東京サミットが開催される予定の大型施設「エッジ・オブ・オーシャン」で爆破事件が発生し、その容疑者として毛利小五郎が逮捕されてしまう。小五郎の無実を証明するために捜査を進めるコナンは、事件の裏で公安警察の降谷零が暗躍していることに気付く。
作品の感想
ITを駆使したテロリストと、それを追う公安警察、さらには検察庁まで絡んできて、小難しい話が延々と続く。序盤の掴みとなるシーンも無いので、子供は前半で飽きてしまう気がする。
今作で残念なのが、登場人物に共感できないところ。公安警察は無能っぷりを晒すし、犯人は理解に苦しむ動機を並べ立てるし、女弁護士については存在する意味があったのかすら疑問。事件の設定を練って大風呂敷を広げたは良いが、収拾がつかなくなってしまったという印象だ。
コナンほか各キャラクターに萌える(盛り上がる)場面はあまり無いが、安室さんが出ていればOK!という人ならめちゃくちゃ楽しめるはず。それくらい安室さんのアクションシーンの良さだけは保証する。
18位 沈黙の15分(クォーター)
監督:山本泰一郎、静野孔文
興収:31.5億円(歴代11位)
都知事宛の脅迫状が届き、その翌日、新地下鉄のトンネルが爆破された。都知事を恨む者の犯行を疑ったコナンは、都知事が過去に関わったダム建設について調査すべく北ノ沢村を訪れる。そこで記憶喪失の少年・立原冬馬と出会い、徐々に事件の真相に迫っていく。
作品の感想
アクション偏重への転換期となった作品。冒頭の電車爆破シーンはスリル満点で、最初にアクションシーンを入れて興味を引くというパターンが確立されている。
タイトルを見てもわかるように、最後の15分に全てが詰まっており、同時に突っ込みどころも満載。スケボー早すぎとか、埋まってるところ浅すぎとか、いろいろ気になる点はあるが、単純なアクションものとしてみればそれなり。
事件の方の印象は薄いので、コナン映画としてはどうなの?という気はするが、映画を興行として捉えればこれも有りなのかなという気はする。
19位 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)
監督:山本泰一郎
興収:30.3億円(歴代12位)
コナンと小五郎は、謎の男からある事件の真相を突き止めるよう依頼される。もし出来なければ「ミラクルランド」にいる蘭たちの”フリーパスID”を爆発させると脅され、同じくゲームに参加させられていた平次らと共に、事件の真相を解き明かしていく。
作品の感想
レギュラーキャラクターが勢ぞろいしたオールスター作品。とはいえキャラクターを出しすぎたせいか、各々の見せ場は少なく無駄遣い感が否めない。
キッドなんかは最後の爆弾回収のために出したのだと思うが、お宝は盗まないし、コナンとのやり取りもほとんど無いので、少し物足りなさを感じる。
また犯人がひたすら小物なのも残念ポイント。最初に蘭たちを人質に取るまでの流れはワクワクしたが、犯人の動機や真相がショボすぎて、事件自体の印象が薄まってしまった。そもそも真相を解き明かすだけなら、さっさと情報を渡した方が早いよねという。
20位 銀翼の奇術師(マジシャン)
監督:山本泰一郎
興収:28億円(歴代14位)
女優・牧樹里の元に、怪盗キッドから「運命の宝石」を盗むという予告状が届く。キッドから宝石を守ったコナン一行は、お礼に樹里の別荘へと招待されるが、そこへ向かう途中の機内で殺人事件が発生。さらに機長、副操縦士も意識不明の重体となってしまう。
作品の感想
印象に残らないシリーズその1。
前半が事件推理パートで、後半が飛行機の不時着パニックものとなっており、前後半で全くの別作品と化してしまっている。
事件自体もテレビの通常回と変わらないクオリティなので、見終わった後に前半の事件推理パートの記憶がほとんど残らず、ひとつの映画作品としてみるとイマイチ。
21位 紺碧の棺(ジョリーロジャー)
監督:山本泰一郎
興収:25.3億円(歴代16位)
バカンスで神海島に訪れたコナンたち一行は、島の財宝を狙うトレジャーハンターたちに出会う。そんな中、ハンターの一人が鮫に襲われ死亡する事故が発生。コナンが捜査を進める中で、次第に死亡事故と財宝伝説の関係性が明らかになっていく…。
作品の感想
印象に残らないシリーズその2。
なんだか2時間ドラマを見ているような感じで、見ていると少し眠くなってしまうくらいにはストーリーの起伏が無い。
少年探偵団がスタンプラリーをする姿など、夏休みらしいほのぼのとした雰囲気は好きなのだが、それこそ映画じゃなくてテレビのスペシャルで良かったのではと思ってしまう。
22位 戦慄の楽譜(フルスコア)
監督:山本泰一郎
興収:24.2億円(歴代18位)
高名な元ピアニスト堂本一輝の門下生が死傷する爆破事件が発生。その翌週、堂本音楽ホールに招かれたコナンたちは、天才ソプラノ歌手・秋庭怜子と出会う。何者かに命を狙われる彼女を守るコナンたちだったが、公演当日のホールには犯人の魔の手が迫っていた。
作品の感想
印象に残らないシリーズその3。
音楽をテーマにした作品で、作中で歌われるアメージンググレイスは本当に上手なのだが、その感想が最初に出てきてしまうほどには内容が薄い。
なんだかテレビの通常回を2時間に引き伸ばしたような感じで、テンポが悪い分、下手したら通常回にも劣るかもしれないくらい事件の印象が薄くなってしまっている。